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  3. メディカルメイクアップ、わたし物語〜インストラクターN「やけどのあと、コスメフリークになりました。」〜

わたくしたちの経験をお話しします


わたくしたちは、特定非営利活動法人メディカルメイクアップアソシエーションという組織で、母斑や白斑、血管腫、傷あとなどがある方のための、カバーできるメイクアップをお伝えする活動を行っています。ここで働くインストラクターもみな、何かしらの症状があり、毎日メディカルメイクアップをおこなっています。しかし、メディカルメイクアップに辿り着くまで、さまざまな葛藤がありました。

インストラクターNの「わたし物語」


【メディカルメイクアップ以前】

やけどの症状部分をどうカバーしようかを日々考えあぐねていました。やけどは両手・両腕から始まり胸や背中から首、顔に至るまで、上半身のほとんどにあります。

一旦、医療的な治療は終了し、手術した部分がどう癒えていくのかを様子を見る段階では医療的にも美容的にもできる限界がありました。どうしても見える場所にやけどあとがあるので、生活をしていくうえで、どこをどう隠すのか優先順位を自然と意識するようになりました。やはり一番は、顔の下半分を隠すこと、次に身体です。身体は、露出の少ない服を着て、やけどあとの赤い色を感じる部分を全て覆うこと。それをベースに、いかに夏の暑さにも対応できて、いかに普通な気持ちでいられるかがとても重要でした。

幸い退院したのは春先だったのでタートルネックの薄いセーターは首を覆うのに大活躍しました。しかし露出する手の甲と顔をどうするかが日々の課題でした。

袖の長いサイズの上着を買って、手の甲を出さずに済むならそれでよいか?スポーティにすれば長袖でも重苦しくないか?または、襟の高いサイズのシャツを買い、襟を立てるおしゃれをした方がかっこよいか?日焼け防止の手袋をしたり、首に大げさにカーフを巻いてどうすればおしゃれに見えるか、そんなことばかり考えていて、考えることにも疲れてしまいました。けがさえしていなければ、こんな苦労はしなくても良かったのに、と悔しさと苦しさで頭の中がいっぱいになっていきました。

【メディカルメイクアップ以後】

やけどのあとをカバーするために、カバー力の高いファンデーションを塗ることを初めて知った日、私の心はとても複雑でした。

やけどのあとや手術のあとなどの「赤みの強い痛々しさ」が隠れて見えなくなると、凹凸は隠せないにせよ、確かにそれらは目立たなくなります。これを使わない手はないという冷静な感動と、こんなにも塗らないと隠せないのかというショック、2つの感情を同時に感じ、正直、複雑な心境でした。

その日の夜、つけてもらった化粧をクレンジングで落として、実際の傷あとを確認すると、おもむろに赤くて見るからに痛そうな自分の肌が露出し、涙が出ました。その時、けがをしてからはじめて声を出して泣きました。こんなにも大やけどのけがをしてしまったんだと改めて認識し、元に戻らない喪失感を実感しました。

しかしその後、冷静に感動していた気持ちは、やはりメディカルメイクアップをして、「嬉しかった」んだ、という認識へと変わっていきました。一般的な化粧品しか知らなかった頃、私はコンシーラーやファンデーションを片っ端から試し、美容雑誌を読みあさり、コスメフリークと言わんばかりに化粧品を買い集め、日々試しては自分の症状が隠せず、トライ&エラーを繰り返していました。メディカルメイクアップに出会ってからもしばらくは一般的な化粧品でトライ&エラーを繰り返し、気が済むまで何度も繰り返し、一般的な化粧品でカバーをするには限界があるということを体験した後、改めてメディカルメイクアップで使用した製品はすごいものなんだ、という認識を強くしました。

その気持ちがうまれてからは、もっときれいに自然に隠せる方法が知りたいという思いがどんどん強くなり、次第にメディカルメイクアップのファンデーションに興味が湧いてきました。18色もあるファンデーションでどんな部分の素肌の色も作れて、隠したい症状を隠せるのなら、なんと素晴らしい!とメイクアップをすることが楽しくなっていきました。

【いまのわたし】

この体験から私は、自分だけではなく他の人にもメディカルメイクアップをしてみたいという気持ちが芽生え、今に至るまで、メディカルメイクアップをお客様にさせて頂いています。今思えば、あの時悩んだからこそ、お客様と気持ちが共有できる。辛いことがあったって大丈夫。結果、大丈夫になるから大丈夫。そんな気持ちでこれからも仕事を続けていきます。

わたくしたちも、メディカルメイクアップをすんなり受け入れ、迷い道をせずに今に辿り着いたわけではありません。ずいぶん遠い回り道もしました。でも、だからこそ、アドバイスできることがあると思うのです。

人生を変えるきっかけを、ご一緒に。ひとりではありません。一緒にメディカルメイクアップをはじめましょう。

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